日記・コラム・つぶやき

2018年10月17日 (水)

≪漢詩鑑賞≫酒を酌んで裴廸に与う(王維)

王維が、若い友人裵廸を慰め励ました詩である。
科挙にも受からず失意のどん底にあった友を、「お前がダメなのではない。世間の人間がどいつもこいつもだめなのだ」と、一緒になって人の世を憤慨してやる。
ここには、王維自身の人間不信が率直に見れる。
☆……☆……☆……☆
酒を酌んで裴廸に与う
酌酒與君君自寛 酒を酌んで君に与う君自ら寛(ゆる)うせよ
人情飜覆似波瀾 人情の飜覆(はんぷく)は波瀾に似たり
白首相知猶按劒 白首の相知のすら猶お劒を按じ
朱門先達笑弾冠 朱門の先達は弾冠(がんかん)を笑う
草色全經細雨濕 草色は全く細雨を経て湿い
花枝欲動春風寒 花枝は動かんと欲して春風寒し
世事浮雲何足問 世事浮雲(ふうん)何ぞ問うに足らん
不如高臥且加飡 如かず高臥して且く飡(さん)を加えんには
☆……☆……☆……☆
お酒をついで君に差し上げよう。まあいっぱい飲んで、ゆったりとして気分(自寛)になりなさい。
人間の感情なんて、いい時も悪い時もあって、まるで打ち寄せる波(波瀾)のようにくるくる変わるものさ。
ともに白髪の友人同士(白首相知)だって、利害のためには剣をとって争う(按剣)こともあるし、
先に出世した人たちは、うだつが上らず、引きを待つ者(彈冠)を冷笑してしまうのさ。
つまらない雑草は恵みの雨を受けてしっとりとつややかに湿っているのに、
高雅な枝の花は、つぼみが開こうとしてもそこに吹く春風は冷たいのだ。
人の世の事なんどは、まるで浮き雲のようにあてどもないし、儚いものだから、とやかく言うに足りないよ。
そんな事はもうあれこれ考えず、超然として(高臥)自愛することだ。
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2018年10月 3日 (水)

≪漢詩鑑賞≫送別(王維)

昨日、相撲の貴乃花部屋が消滅した。
弟子は、部屋から引越しをする時に、涙を拭っていた。
貴乃花部屋の雰囲気が垣間見える。
さて・・・
この詩の題は、「送別」だが、具体的に誰かを送ったものではない。
隠遁の世界を詠っている。
即ち、世俗の薄汚れたものの対極にある。
何故か、貴乃花の引退で、この詩を思い出した。
☆……☆……☆……☆
送別  王維
下馬飲君酒  馬より下りて君に酒を飲ましむ
問君何所之  君に問う何(いずく)にか之(ゆ)く所ぞと
君言不得意  君は言う意を得ずして
歸臥南山陲  南山の陲(ほとり)に帰臥(きが)せんと
但去莫復問  但だ去れ復問うこと莫(な)からん
白雲無盡時  白雲尽くる時なし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
馬からおりて君に酒をついでさしあげる
ところでおたずねいたしますが、君はいったいどこへいかれるのか。
君は言う、志を得ないから
南山のほとりに隠遁してしまうつもりだと。
そうか、では行きたまえ、もうこれ以上何も聞くまい。
君の行く南山には白雲が永遠に耐えることなく浮かんでいるだろう。
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2018年9月20日 (木)

≪漢詩鑑賞≫漁翁(柳宗元)

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漁翁(ぎょおう)夜西巌(せいがん)に傍(そ)うて宿し
暁に清湘(せいしょう)に汲み楚竹を然(た)
(もや)(き)え日出てて人を見ず
あいだい一声山水緑なり
天際を廻看(かいかん)して中流を下れば
巌上無心雲相い逐(お)
漁夫のおやじは西岸の岩のもとに舟をとめて夜を過ごし
曙に、清らかな湘水(しょうすい)の水を汲み楚の竹を燃やして朝餉(あさげ)の支度をする
えいおうと舟こぐかけ声が一つ響けば、山も水も緑に染まる
はるかな水平線の彼方を振り返りつつ川の中ほどをこぎ下れば
昨夜舟を止めた岩の上のあたりに、無心の雲が互いに先になり後になりつつ流れていく

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2018年9月15日 (土)

≪漢詩鑑賞≫汾上にて秋に驚く(蘇頲)

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作者の蘇頲(そてい)は、初唐の詩人。
わずか11歳で進士に及第したという。
卓越した文才は、玄宗によって取り立てられ、官歴においてもエリート・コースを歩んだが、生活はつつましく潔白で、財産は残さなかったという。
この詩は、旅の途中秋の到来に気付き、ますます気が滅入るというもの。
汾上にて秋に驚く
北風吹白雲  北風白雲を吹く
萬里渡河汾  万里河汾を渡る
心緒逢揺落  心緒揺落に逢い
秋聲不可聞  秋声聞くべからず
北風が白い雲を吹き飛ばしてゆく
私は万里の旅路の途上にて、いま汾河(ふんが)を渡る
旅はただでさえもの悲しいもの。草木の葉が散る(揺落)のを前にして、心の糸(心緒)が震えるとき
とてもお秋のわびしい物音(秋聲)を平気で聞いてはいられない

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2018年8月20日 (月)

≪漢詩鑑賞≫旅夜書懐(杜甫)

杜甫の名作。
星垂れる・・・
月湧く・・・
このような表現は、漢詩ならではのもの。
✰・・・…☆……☆……☆
旅夜述懐(旅夜懐を書す) 杜甫
細草微風岸 細草微風の岸
危檣獨夜舟 危檣(きしょう)独夜の舟
星垂平野濶 星垂れて平野濶(ひろ)
月湧大江流 月湧いて大江(たいこう)流る
名豈文章著 名は豈(あに)文章にて著われんや
官應老病休 官は応(まさ)に老病にて休むべし
飄飄何所似 飄飄何の似たる所ぞ
天地一沙鷗 天地の一沙鷗(いちさおう)
・・・・・・・・・・・・・・・
小さな草(細草)が、かすかな風(微風)にそよいでいるこの岸辺
わたしは、帆柱が高くそびえた(危檣)船で、独り眠られぬ夜(独夜)を過ごす
星は広々とした平野(平野濶)に、低く垂れるように輝き
月影は水面にわいて、波を輝かせながら揚子江(大江)は流れる
人の名声というものは、文学などによってあらわれるものではない
そうとはいえ、官吏としての勤めも、年老いては辞めるのが当然の事なのだ
飄飄と漂泊の身はいったい何に似ているのだろうか
果てない天地の間を飛び回る一羽の砂浜のかもめのようなものだ
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2018年8月 6日 (月)

≪漢詩鑑賞≫王昭君(白楽天)

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王昭君は、漢の元帝の時の宮女で、中国四大美女の一人と称されている。
元帝は、宮廷画家に宮女たちの肖像画を描かせ、その中から気に入った者を寵愛した。
そこで、宮女たちは賄賂を贈り、美しく描かせようしたが、王昭君だけは贈らなかった。
そのため、絶世の美女でありながら醜女に描かれ、その政略結婚の犠牲として匈奴の王に嫁がせた。
別れの挨拶に進み出た王昭君を見て、元帝は大いに悔やみその後、その画家を殺したという。
この詩は、匈奴に嫁がされた、王昭君の悲しみに沈むさまを詠った白居易17歳の時の作である。
正に、早熟の天才である。
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王昭君
滿面胡沙満鬢風  
面に満つる胡沙(こさ)鬢(びん)に満つる風
眉銷殘黛臉銷紅  
眉は残黛(ざんたい)銷(き)え臉(かお)は紅銷ゆ
愁苦辛勤顦顇盡  
愁苦(しゅうく)辛勤(しんぎん)して顦顇(しょうすい)し尽くれば
如今却似盡圖中  
如今(いま)ぞ却(かえ)って画図の中に似たり
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漢を離れてはるばる来たえびす(胡)の地、顔は沙漠(沙)の塵にまみれ、ほつれた鬢(顔の左右側面の髪)は風に流れる
美しい眉をえがいたうすずみ(殘黛)も、豊かなほお(臉)にさした紅も、いつしか色あせた(銷ゆ)
悲しみ(愁苦)、苦しみ(辛勤)の為、げっそりとやせ衰えて(顦顇)しまい
今の私の姿は、皮肉にもあの醜婦の肖像画そのものになってしまっている
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2018年6月11日 (月)

「権力との距離感」を模索する是枝監督

◆文科大臣の祝意を断った
是枝監督が、林文科大臣の「文科省で祝意を伝えたい」という打診を断ったことが、話題になっている。
断った理由は、「権力との距離感を保つ」という事らしい。
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◆是枝氏は、素晴らしい映画監督である
私は、未だ『万引き家族』は観ていない。
だが、その他の是枝監督作品は面白く、深い感銘をもって観た。
特に、綾瀬はるか・廣瀬すずら4姉妹の映画は、映画芸術としても良かった。
どれも素晴らしい映画である。
是枝氏は、日本が誇るべき映画監督である。
と思うし、その評価は変わらない。
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◆断った意味は?
文科大臣の祝意を断ったというから少しばかり衝撃である。
今朝、東京MXテレビで,26歳の若い社長が、「(是枝氏の反権力思想は)物足りない」「行動が大事」と批判していた。
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◆反権力と、権力と距離を置くの違い
さらに、この若者は、「拉致問題の原因を作ったのは、戦前の植民地支配にある」「拉致被害者を返せという前に、日本は謝罪し賠償すべきだ」「それが、拉致問題を解決すべき道筋だ」と、全くの間違った歴史認識を臆面もなく晒していた。
しかし、反権力と、権力と距離を置くことは違う。
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是枝監督の意思である
この若者が、「それが拉致被害者の為になる」と、躊躇いもなく言い切っていた。私は、電波を使ってこんな酷い発言をさせることに驚いた。
是枝監督に話を戻す。
映画作りには、文化庁の予算をもらっている事もあり、是枝監督の「拒絶」にはネットで賛否両論があるようだ。
しかし、私は、「拒絶」は是枝監督の意思であり、批判される筋合いではないと思う。
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◆映画人・是枝監督の意思を支持する
是枝監督の意思は、「権力との距離感を保つ」ということである。
それは、一部の反自民勢力が求める「反権力」とは異なる。
権力に対抗するでもなく、権力に阿ることでもない映画人・是枝氏の自由意志である。
私は、それは素晴らしい事だと思う。
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2018年6月 4日 (月)

≪漢詩鑑賞≫楓橋夜泊(張継)

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楓橋夜泊(ふうきょうやはく)
この詩は、私が最も好きな詩の一つである。
作者の張継は、政治に明るく郡を治めてた時には、立派な政治家として名声があったという。
政治と文学が一体となっているのが中国史における偉人の特徴であり、それは、私の最も尊敬するところである。
◆「楓橋」(ふうきょう)は、江蘇州の西郊、楓江にかけられた橋。
交通の要衝でもあり、名称の地として知られる。
◆「胡蘇」(こそ)は、春秋時代(前770~403)の呉の都。
◆寒山寺(かんざんじ)は、楓橋に近い所にある寺。
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2018年6月 1日 (金)

≪漢詩鑑賞≫漁翁(柳宗元)

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作者の柳宗元(りゅうそうげん)は、中唐の詩人。
都長安に生まれ育った。
少年時代から神童の誉れ高く、21歳の若さで進士に及第した秀才である。
この詩は、大自然の中に溶け込み大、自然になり切ったような漁翁の暮らしを詠みあげている。
左遷時代の作品である。
漁翁夜西巌に傍(そ)うて宿し
暁に清湘(せいしょう)に汲み楚竹を然(た)
(もや)(き)え日出でて人を見ず
欸乃(あいだい)一聲(いっせい)山水緑なり
天際を廻看(かいかん)して中流を下れば
巌上(がんじょう)無心雲相い遂(お)
漁夫のおやじは西岸の岩のもとに舟をとめて夜を過ごし
夜の明ける暁に、清らかな湘水(しょうすい)の水を汲み楚の竹を燃やして朝餉(あさげ)おしたくをする。
えいおうと舟をこぐかけ声が一つ響けば、山も水も緑に染まる。
はるか水平線のかなたを振り返り(廻看)つつ川の中ほどをこぎ下がれば
昨夜舟をとめたと岩の上のあたりに、無心の雲がたがいに先になり後になりつつながれていく。
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2018年5月21日 (月)

≪漢詩鑑賞≫飲酒(陶淵明)

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