≪漢詩鑑賞≫江南の春(杜牧)
杜牧は、晩唐の詩人である。
杜甫を「労杜」というのに対して、「小杜」と呼ばれる程、晩唐第一の詩人で、私も好きな詩を創っている。
特に七言絶句にその才は発揮され、軽妙洒脱な詩には魅了される。
『江南の春』は、江南地方の明るい農村の風景と懐古の情が描き出されている傑作である。
★……☆……☆……☆……☆……☆
江南の春
千里鴬啼緑映紅 千里鴬(うぐいす)啼いて緑紅に映ず
水村山郭酒旗風 水村山郭酒旗(しゅき)の風
南朝四百八十寺 南朝(なんちょう)四百八十寺
多少楼臺煙雨中 多少の楼台(ろうだい)煙の中
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
見渡すかぎりの広々とつらなる平野の、あちらからもこちらからも、うぐいすの声が聞こえ、木々の緑(柳の緑が花の紅(桃花の紅)と映じ合っている
水辺の村(水村)や山ぞい(山郭)の村の酒屋の目印の旗(酒旗)が、春風になびいている
古都金陵には、南朝以来の寺院がたくさん並び
その楼台が春雨の中に煙っている
====================
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ≪漢詩鑑賞≫虞美人草(曹鞏)(2018.04.16)
- ≪漢詩鑑賞≫杜甫の代表的な絶句(2018.04.03)
- ≪漢詩鑑賞≫烏江亭に題す(杜牧)(2018.03.24)
- ≪漢詩鑑賞≫七哀の詩(王粲)(2018.03.06)
- ≪漢詩鑑賞≫不出門(門を出でず)菅原道真(2018.02.10)
コメント