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2015年11月23日 (月)

≪漢詩鑑賞≫辺塞詩と閨怨詩

六朝末から唐代には、北部(北狄)・西部(西戎)との戦争と、遠征に、大勢の民衆がかりだされた。

戦争は悲惨だが、皮肉にも優れた詩を生むことが多い。

辺塞の地において、兵士の側から、悲哀を詠ったのを辺塞詩(へんさいし)と呼ぶ。

辺塞とは、国境の要塞(とくに長城)を意味する。

一方、故郷に残された妻の側からの悲哀を詠ったのを閨怨詩(けいえんし)と呼ぶ。

閨(けい)は女性の部屋、閨怨(けいえん)は、女性が部屋の中で怨み悲しんでいる様を意味する。

次の詩は、「七言絶句の聖人」と称された王昌齢(盛唐の詩人)の作品である。

☆……☆……☆……☆……☆……☆……☆

出塞(しゅっさい)

秦時明月漢時關  秦時明月漢時

萬里長征人未還  万里長征して人未らず

但使龍城飛将在  但竜城飛将をしてらしめば

不敎胡馬度陰山  胡馬をして陰山(わた)らしめず

秦のころにも照っていた明月、漢の時代からの関所、今も変わりない

万里の長征して夫はまだ帰れない

ただ、漢代に竜城の飛将軍と恐れられた李広将軍のような名将がいたならば

えびす(胡馬)の敵兵に、陰山山脈をこえて侵入させるようなことはさせないものを

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

閨怨(けいえん)

閨中少婦不知愁  閨中(けいちゅう)少婦愁いをらず

春日凝妝上翠楼  春日妝(よそお)いをらして翠楼

忽見陌頭楊柳色  忽(たちま)陌頭(はくとう)楊柳

悔敎夫壻覓封侯  悔ゆらくは夫壻をして封侯(もと)(し)めしを

部屋の中の若い妻(少婦)、何も愁いを知らない

その愁いを知らない妻が春のうらうらとした日に、お化粧(妝)を念入りにして、美しい高殿(翠楼)へ上がっていく

彼女はうきうきとした気分で二階から外を見る。と、ふと目に入った(忽見)のは大通りのほとりのうっすらと芽吹いている柳の色(※楊柳は別れの象徴)

柳の色を見ているうちに去年の今時分のことを思い出した。ああ悔やまれてならない。戦争へ行って手柄をたて大名になってよ、と夫(夫壻)を送り出したことが。

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