« ≪漢詩鑑賞≫秋怨(魚玄機) | トップページ | 武貞秀士氏、萩谷順氏の気になる発言(今朝のモーニングバードより) »

2013年12月17日 (火)

≪読書感想≫魚玄機(森鷗外)

41sya5mdibl__aa278_pikin4bottomrigh

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

森鷗外の短編小説『魚玄機』を、改めて読んだ。

魚玄機は、昨日の≪漢詩鑑賞・秋怨≫でも記したが、中国・晩唐の実在した女流詩人である。

小説『魚玄機』は、膨大な資料を参照にした「魚玄機」論であり、同時に、文豪・森鷗外の「女性」観でもある。

☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆

小説では、“魚玄機”を次のように表現している。

玄機は久しく美人を以て聞えていた。趙痩※と云わんよりは、寧ろ楊肥※というべき女である。

※趙痩(ちょうそう)  成帝(前漢)の皇后・趙飛燕のような、やせ型の美人。

※楊肥(ようひ)  玄宗(唐)の籠姫・楊貴妃のような、肉体美の女性。

温の目に映じた玄機は将に開かんとする牡丹の花のような少女である。

玄機が女子の形骸を以て、男子の心情を有していたことは、此詩を見ても推知することが出来る。しかし其形骸が女子であるから、吉士※を懐うの情がないことはない。只それは蔓草が木の幹に纏い附こうとするような心であって、房帷の欲※ではない。

※吉士(きつし)  未婚の美男子。

※房帷(ぼうい)の欲  情欲。

玄機は今年二十六歳になっている。眉目端正な顔が、迫り視るべからざる程の気高い美しさを具えて、新たに浴を出た時には、琥珀色の光を放っている。豊かな肌は瑕のない玉のようである。

玄機は毫も弁疏※することもなくして罪に服した。楽人陳某は鞠問※を受けたが、情を知らざるものとして釈された。

※弁疏  弁解。

※鞠問  尋問。

玄機の刑せられたのを哀れむものは多かったが、最も深く心を痛めたものは、方城にいる温岐であった。

=====================

|

« ≪漢詩鑑賞≫秋怨(魚玄機) | トップページ | 武貞秀士氏、萩谷順氏の気になる発言(今朝のモーニングバードより) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/564386/58770970

この記事へのトラックバック一覧です: ≪読書感想≫魚玄機(森鷗外):

« ≪漢詩鑑賞≫秋怨(魚玄機) | トップページ | 武貞秀士氏、萩谷順氏の気になる発言(今朝のモーニングバードより) »