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2013年10月28日 (月)

≪漢詩鑑賞≫晩唐の詩人・杜牧~七言絶句の名作(後編)

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杜牧の詩は、軽妙洒脱で分かり易い。

それ故、(私のような)市井の漢詩愛好者には「杜牧フアン」は多い。

杜甫を「老杜」というのに対して、杜牧は「小杜」と呼ばれている。

杜甫(盛唐712~770)と杜牧(晩唐803~852)とは、生きた時代が違うが、お互いに“大詩人”であることに間違いはない。

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山行

遠上寒山石徑斜  遠く寒山に上れば石径斜なり

白雲生處有人家  白雲生ずる処人家有り

停車坐愛楓林晩  車を停めて坐に愛す楓林の晩

霜葉紅於二月花  霜葉は二月の花よりも紅なり

遠く、もの寂しい山に登っていくと、石ころの多い小道が斜めに続いている。そして、そのはるか上の白雲が生じるあたりに、人家が見える。

車を止めさせて、気のむくままに夕暮れの楓の林の景色を愛でながめた。霜のために紅葉した楓の葉は、春二月ごろに咲く花よりも、なおいっそう赤いことであった。

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秦淮に泊す

煙籠寒水月籠沙  煙は寒水を籠(こ)め月は沙を籠(こ)

夜泊秦淮近酒家  夜秦淮に泊して酒家に近し

商女不知亡國恨  商女は知らず亡国の恨

隔江猶唱後庭花  江を隔てて猶お唱う後庭花

夕もやは、秦淮河の冷たい水の上にたちこめ、月の光は白々と川岸の砂を照らす。この夜、秦淮河に舟泊まりをしたのだが、川の向こうは料亭であった。

妓女たちは、昔このあたりに都があった陳の国の亡国の恨みがこもる歌だとは知らずに、いまなお、玉樹後庭花の曲を歌ってさんざめている。

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淸明

淸明時節雨紛紛  清明の時節雨紛紛

路上行人欲斷魂  路上の行人魂を断たんと欲す

借問酒家何處有  借問す酒家は何れの処にか有る

牧童遙指杏花村  牧童遙かに指さす杏花の村

春の盛りの清明節だというのに、折からこぬか雨がしきりに降っている。その雨は、道行く旅人である私の心をすっかり滅入らせてしまう。

「すまんが、酒を売る店は、どちらの方にあるのかな」 すると、牛飼いの子があっちの方だよ、と指さした。その彼方には、白い杏の花咲く村が・・・。

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赤壁

折戟沈沙鐡未銷  折戟沙に沈んで鉄未だ銷(しょう)ぜず

自將磨洗認前朝  自ずから磨洗を将って前朝を認む

東風不輿周郎便  東風周郎が与(ため)に便ならずんば

銅雀春深銷二喬  銅雀春深くして二喬を銷(とざ)さん

折れたほこが、川岸の砂にうずもれて、その鉄がまだすりへっていない。そこで、その折れたほこを手にとって、水洗いしてみがくと、それはまさしくあのころのものであった。

もし、東風が呉の周瑜のために吹いてくれなかったならば、あの曹操のために、春も深い頃、絶世の美女である喬姉妹は、捕らえられて手ごめにされていたであろう。

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贈別

多情却似總無情  多情は却(かえ)って似たり総て無情なるに

惟覺罇前笑不成  惟(た)だ覚ゆ罇前(そんぜん)笑の成らざるを

蝋燭有心還惜別  蝋燭心有りて還た別れを惜み

替人垂涙到天明  人に替って涙を垂れて天明に到る

物事に、ひどく感じやすい心というものは、つまるところ、何事にも感じない心と同じようなもの。どうにか気づいたのは、別れの酒を前にして、自分の顔がこわばって、笑うことができないことだ。

ろうそくにも、私の別れの悲しみがわかって、同情して別れを悲しみ、わたしのためにろうの涙を流して、とうとう夜明けになってしまった。

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投稿: ラルフローレン公式サイト 日本 | 2013年10月29日 (火) 19時40分

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