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2013年10月 4日 (金)

≪読書感想≫『サルトルとその時代』(白井浩司著)

Cover250

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◆懐かしさ

私は、ジャン=ポール・サルトルの著述書を、フランス語はおろか翻訳日本語ですら読んだ事は無い。

今後も、読む気力も体力もない。

しかし、サルトルという人名は、『実存主義』という言葉と共に、妙に懐かしさが湧く。

何故なのだろうか?

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◆その時代

『サルトルとその時代』を読もうとした動機は、単純である。

“サルトル”よりも“その時代”に関心を抱いたからである。

“その時代”とは、第二次世界大戦後のこと、即ち、東西冷戦体制下での世界情勢を指す。

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◆進歩主義

著者は、サルトルを「進歩主義者」と呼んでいる。

「進歩主義」は、“その時代”の流行語だった。

“進歩的知識人”という呼び方には、今では「死語」になっているが、「ハイカラ」なイメージが付きまとう。

“その時代”とは、私にとって16・17歳の「高校生」の頃である。

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◆三大思想

50年前の高校教科書『倫理社会』には、世界の三大思想の記述があった。

①フランスを中心とした実存主義

②ソ連を中心とした共産主義(コミュニズム)

③アメリカを中心とした実用主義(プラグマティズム)

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◆難解な実存主義

高校生の私にとって、最も難解で、理解できないのが『実存主義』であった。

ただ・・・『共産主義』に対しては“個人主義”、『実用主義』に対しては“精神主義”というイメージしか思い浮かばない。

だが、“進歩的知識人”という呼び名が示す様に、『実存主義』は“難しい”から<高級>である。

逆に、『実用主義』(プラグマティズム)は、“金儲け”一辺倒で<低俗>である、という偏向があった。

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◆懐かしさの根源

しかし、「(その時代に)妙に懐かしさが湧く」のは何故なのか?

著者は、次のように記述している。

サルトルがわたしたちの強い関心をひいたのは、単にもの珍しさからではありますまい。彼は、過去に問い、現在を見つめ、未来の人間像を模索します。その誠実さと、良心的態度と明晰さを疑うことはできません。

サルトルの思想的、哲学的立場に反対の意見をもつ人はきっと少なくないでしょう。しかしサルトルの悪戦苦闘というべきこれまでの仕事が、超人的といっていいほどの重さをもっていること否定する人はいないでしょう。

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◆如何に生きるべきか?

私は、『サルトルとその時代』を読むうちに、自分の生い立ち、成長の記憶を呼び起こしていた。

そして新鮮だが、気恥ずかしい気分になった。

「如何に生きるべきか?」と真剣に考えていた・・・。

若き日の自身の姿を思い出していたのだろう。

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