« 国民栄誉賞受賞、感動のセレモニーに“水を指す”コメント | トップページ | 堪え難きを堪え忍び難きを忍び① »

2013年5月 7日 (火)

≪漢詩鑑賞≫秘書晁監の日本國に還るを送る(王維)

Abe_nakamaro_

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆日本人留学生・安部仲麻呂

古代の中国(唐)は、途方もなく遠い。

天の原 ふりさけみれば 春日なる

三笠の山に いでし月かも

奈良時代の遣唐留学生・安部仲麻呂が、中国の地で(日本語で)詠った和歌である。

☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆

◆「途方もなく遠い・・・」日本

中国に渡った安部仲麻呂は、科挙に合格し、官僚となって玄宗皇帝に仕えた。

次の王維の詩は、仲麻呂が日本へ帰る事になり、送別の宴で詠ったものである。(仲麻呂は、日本への帰国を果たせなかったが・・・)

途方もなく遠い処にある“孤島”という当時の中国人の日本観、ひいては世界観をうかがい知ることが出来る。

※秘書晁監・・・阿部仲麻呂(中国名:晁衡)、秘書監は官名で、宮中の蔵書を管理する秘書省の長官

=====================

秘書晁監の日本國に還るを送る

積水不可極  積水極(きわ)むべからず

安知滄海東  安んぞ知らん滄海(そうかい)の東

九州何處遠  九州何れの処か遠からん

萬里若乗空  万里空(くう)に乗ずるが若(ごと)

向國惟看日  国に向かって惟だ日を看(み)

歸帆但信風  帰帆(きはん)但だ風に信(まか)すのみ

鰲身映天黑  鰲身(ごうしん)天に映じて黒く

魚眼射波紅  魚眼(ぎょがん)波を射て紅なり

郷樹扶桑外  郷樹(きょうじゅ)扶桑の外

主人孤島中  主人孤島の中

別離方異域  別離方(まさ)に異域(いいき)

音信若爲通  音信若為(いかん)してか通ぜん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

広々とした海(積水)の果ては極めようもない。東の海(滄海)のさらに東、君の故国のあたりのことなど、どうして分かろうか。

中国の外の九大州(九州)のうちでどこが一番遠いだろうか。君の故国へ帰る万里の道は、空中を飛んで行くようなものだろう。

故国へ向かって行くにはただ太陽を見るばかり。帰国の航海は、ただ風にまかせて進むのみ。

途中では、波間に大海龜の甲(鰲身)が大空を背景に黒々とみえ、大魚の眼の光は波頭を射るように輝いて紅にひかる。

君の故郷の木々は、扶桑の国の外にしげり、その故郷の家のあるじである君は孤島の中に住む。

互いに別れてしまえば別々の世界の人となるのだ。便り(音信)もどうして(若為)通わせたらよいことだろうか。

=================

|

« 国民栄誉賞受賞、感動のセレモニーに“水を指す”コメント | トップページ | 堪え難きを堪え忍び難きを忍び① »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/564386/57329677

この記事へのトラックバック一覧です: ≪漢詩鑑賞≫秘書晁監の日本國に還るを送る(王維):

« 国民栄誉賞受賞、感動のセレモニーに“水を指す”コメント | トップページ | 堪え難きを堪え忍び難きを忍び① »