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2013年4月18日 (木)

≪漢詩鑑賞≫李白と杜甫の遭遇

Shoden_016

詩仙(李白)と詩聖(杜甫)が出会ったのは、744年4月、場所は東都洛陽。

李白は翰林供奉(※)をうばわれ、首都長安を追放され、山東の道士高天師を訪ね道籙(※)を受けるため、途中洛陽に立ち寄った。

※翰林供奉(かんりんくぶ) 玄宗皇帝の側にあって、所望に応じて詩を提供する官職

※道籙(どうろく) 道教信者の経るべき過程で、道教の受戒に当ると言われている

一方の杜甫は科挙の試験に落第し、9年間の放浪の生活をした後、洛陽に滞留して李白に出会った。

李白44歳、杜甫33歳だった。

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魯郡の東石門にて杜二甫を送る  李白

酔別復幾日  酔別復た幾日ぞ

登臨徧池臺  登臨池台に徧(あまね)

何言石門路  何ぞ言わん石門の路

重有金樽開  重ねて金樽の開くこと有らんと

秋波落泗水  秋波泗水(しすい)に落ち

海色明徂徠  海色(かいしょく)徂徠に明かなり

飛蓬各自遠  飛蓬(ひほう)各自に遠し

且盡林中盃  且く林中の盃を尽くさん

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(杜甫との)別れを惜しんで酒に酔うことを、もう幾日くりかえしたことか。あちこちの山に登り水に臨み、池のほとりの高台をめぐりつくした。

どうして言えよう、石門の路で、ふたたび、金樽の開かれることがあろうなどと。

秋のさざ波は水量の減った泗水に落ち、はるかな東海の海原の色(海色)は、明るく徂徠山に照りはえて美しい。

秋風に飛ぶ根無し草(飛蓬)のように、それぞれが遠く離れてしまうのだから、今はともかくも、林の中の杯を尽くして、大いに飲もうではないか。

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その後二人は放浪の旅に出た。

以後、最後まで再会はかなわなかった。

次の詩は、李白に寄せる杜甫の敬慕の気持ちをうたったものである。

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春日李白を憶う  杜甫

白也詩無敵  白也詩敵無し

瓢然思不群  瓢然として思い群せず

清新庾開府  清新は庾開府

俊逸鮑参軍  俊逸は鮑参軍

渭北春天樹  渭北春天の樹

江東日暮雲  江東日暮の雲

何時一樽酒  何れの時か一樽の酒

重與細論文  重ねて与に細かに文を論ぜん

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李白よ、あなたは詩にかけては天下に敵がなく、その詩想は、凡俗を超越し(瓢然)、なみはずれている。

その詩の新鮮なことはちょうど北周の庾信(庾開府)のようで、詩才の優れてずばぬけていることは、ちょうど宋の鮑照(鮑参軍)のようです。

今、私は渭水の北で、春風の木の下で、あなたのことを思っているが、あなたは揚子江の東で、日暮れの雲に都を思っていることでしょう。

いつの日にか、あなたと二人で樽の酒をくみかわしながら、再び、いっしょにつぶさに文学について語りあえるだろうか。

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