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2012年5月12日 (土)

≪漢詩鑑賞≫十五従軍征(楽府詩集)

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◆民謡として伝承された傑作

『楽府詩集』とは、漢代から唐代を経て五代(10世紀ころ)までの間の、楽曲にあわせて歌うことを主として作られた詩の総集である。

内容は、祖先を祀るもの、宮廷の宴会のためのもの、女性の悲哀をうたうもの、人生を嘆くもの、経済苦をうたうもの、教訓や風刺をうたうもの、男女の情愛をうたうもの、など様々である。

この『十五にして軍に従いて征く』(五言古詩)は、無名氏による傑作の一つである。

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十五從軍征  無名氏

十五従軍征  十五にして軍に従い征(ゆ)

八十始得歸  八十にして始めて帰(かえ)るを得たり

道逢郷里人  道に郷里の人に逢(あ)

家中有阿誰  家中に阿誰(たれ)か有りや

遙望是君家  遙かに望む是れ君が家

松柏塚纍纍  松柏の塚(つか=墓)累累たり

十五の時に戦争にかりだされ、八十になってやっと帰ってくることができた。その道すがら故郷の知人に会ったので、「私の家には誰か住んでますか」と聞いてみた。その人が言うには、「遙かに見えるのがそれ、君の家だよ。だけど、松柏の茂った墓が連なっているだけだよ」と。

兎従狗竇入  兎は狗竇(くとう)より入り

雉従梁上飛  雉(きじ)は梁上(りょうじょう)より飛ぶ

中庭生旅穀  中庭(ちゅうてい)には旅穀(りょこく)生じ

井上生旅葵  井上(せいじょう)には旅葵(りょき)生ず

烹穀持作飯  穀(こく)を烹(に)て持って飯(はん)を作り

行ってみれば、野兎は土塀の犬くぐり(狗竇)から出入りし、雉は梁(はり)から飛び立つありさま。しかも庭には雑穀(旅穀)が生え。古井戸のあたりには野草(旅葵)が乱れ生えている。

採葵持作羮  葵(き)を採って持って羮(こう)を作る

羮飯一時熟  羮飯(こうはん)一時に熟すれども

不知貽阿誰  阿誰(たれ)に貽(おく)らんかを知らず

出門東向望  門を出(い)でて東に向って望めば

涙落沾我衣  涙落ちて我が衣(い)を沾(うるお)

その雑穀を煮て飯を作り、その野草を摘んで、あつもの(羮)を作ってみた。飯やあつものはたちまち同時にできたけれども、さて、誰にごちそうしたらよいやら。やむなく、門から出て東の方をながめると、ただ、涙が落ちてわたしの着物を濡らすだけであった。

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コメント

こんにちは。 ある中国文化サークルに所属
してまして、漢詩にも以前より興味あります。 高校時代に習った李白の黄鶴楼送孟浩然之広陵は今でも好きですが、同じく高校で
習った十五従軍征を思い出し探していてこの
ブログを拝見しました。 これからも少しずつ漢詩を味わいたいと思います。 ありがとうございました。

投稿: sanpu | 2014年4月29日 (火) 07時02分

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