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2012年4月 4日 (水)

≪漢詩鑑賞≫ 七哀の詩(王粲)

作者の王粲(おうさん)は、曹操(=後漢末期の英傑の一人、魏の武帝)に召され側近となった詩人。この詩は、後漢末の乱れた世を嘆いている。親戚や友との別れ、平原にころがる白骨、飢えた母子などの描写が生々しい。

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七哀の詩  王粲<五言古詩>

西京亂無象  西京(せいけい)乱れて象(みち)無く

豺虎方遘患  豺虎(さいこ)(まさ)に患(わざわい)を遘(な)

西の都長安はもはや乱れて正道も廃れてしまった。今は凶暴な軍閥どもが、山犬や虎のように荒らし回っている。

復棄中國去  復た中国(ちゅうごく)を棄てて去り

遠身適荊蠻  身を遠ざけて荊蛮(けいばん)に適(ゆ)

私が東都洛陽をすててこの新都にやって来たのは、ほんの数年前であった。ところが、もう荒れ果てて見る影もない。意を決して再び都をすてよう。落ちて行く先は荊州、蛮地である。

親戚對我悲  親戚我に対(むか)いて悲しみ

朋友相追攀  朋友相追いて攀(すが)

別れにあたって、親戚の者たちは私の顔を見て悲しみ、友人たちは追いかけて来て車にすがる。

出門無所見  門を出づれども見る所無く

白骨蔽平原  白骨平原を蔽(おお)

城門を出ても見るべきものはなく、白骨だけがごろごろと平原にころがっているばかり。

路有飢婦人  路に飢(うえ)えたる婦人(ふじん)有り

抱子棄草閒  子を抱(いだ)いて草間(そうかん)に棄(す)

しばらく道を行くと、一目で飢えていると分かる女に出会った。女は子供を抱いていたが、その子を草むらにすてると歩き出す。

顧閒號泣聲  顧(かえり)みて号泣(ごうきゅう)の声を聞くも

揮涕獨不還  涕(なみだ)を揮(ふる)って独り還(かえ)らず

火のついたような泣き声。女は振り返って、しばし茫然と立ちつくした。だが、溢れる涙を手で払うと、また歩き出し、もう立ち止まることさえしなかった。

未知身死處  未だ身の死する処を知らず

何能兩相完  何ぞ能く両(ふたり)ながら相完(まった)からんと

女のつぶやきのみが残った)あたし一人の死に場所もしれないのに、どうして二人で生きて行けよう・・・

驅馬棄之去  馬を駆(か)って之を棄てて去る

不忍聴此言  此の言を聴くに忍びざればなり

私は馬に鞭をくれその場を急いで離れた。女の言葉が聞くに耐えなかったからである。

南登覇陵岸  南のかた覇陵(はりょう)の岸に登り

廻首望長安  首(こうべ)を廻(めぐ)らして長安を望む

南へ南へ進むと、覇陵(前漢の文帝の陵)にたどりついたので、その陵の高台に登ってみた。そして振り返り、はるか彼方の長安をながめた。

悟彼下泉人  悟る彼の下泉(かせん)の人を

喟然傷心肝  喟然(きぜん)として心肝(しんかん)を傷ましむ

すると覇陵に眠る文帝の平和な御世がしのばれ、善政を慕ってやまなかった「下泉」の作者の心がしみじみと胸に迫り切なくなってためいきをつくのであった。

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 職務経歴書の書き方 | 2012年4月13日 (金) 10時58分

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