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2011年10月 2日 (日)

《漢詩鑑賞》 『詩仙』李白を思う、『詩聖』杜甫の詩について

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唐代の二大詩人、『詩仙』李白と、『詩聖』杜甫が初めて会ったのは744年、李白44歳、杜甫33歳の時であった。

当時、李白は宮廷から遠ざけられ、杜甫は科挙に落第し、二人とも失意の中で洛陽で出会って、その後二人は放浪の旅に出る。

杜甫は、先輩詩人・李白の身を案じていたが、最後まで再会がかなわなかった。

李白を思う杜甫の詩の中でも、次の代表作を鑑賞してみる。

☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆

春日憶李白 (春日李白を憶う) 杜甫

白也詩無敵  白也(はくや)詩敵無し

飄然思不群  飄然(ひょうぜん)として思群せず

李白よ、あなたは詩にかけては天下に敵が無く、その詩想は、凡俗を超越し、なみはずれている

淸新庾開府  清新は庾開府(ゆかいふ)

俊逸鮑参軍  俊逸は鮑参軍(ほうさんぐん)

その詩の清新なことはちょうど北周の庾信(ゆしん)のようで、詩才の優れてずばぬけていることは、ちょうど宋の鮑照(ほうしょう)のようです

渭北春天樹  渭北(いほく)春天(しゅんてん)の樹

江東日暮雲  江東日暮(にちぼ)の雲

今、私は渭水(いすい)の北で、春空の木の下で、あなたのことを思っているが、あなたは揚子江の東で、日暮れの雲に都を思っていることでしょう

何時一樽酒  何(いずれ)の時か一樽(いっそん)の酒

重與細論文  重ねて与(とも)に細かに文を論ぜん

いつの日にか、あなたと二人で、樽の酒を酌み交わしながら、再び、一緒につぶさに文学について語りあえるだろうか

☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆

飮中八仙歌 (飲中八仙歌) 杜甫

知章騎馬似乘船  知章が馬に騎るは船に乗るに似たり

眼花落井水底眠  眼花井に落ちて水底に眠る

賀知章(がちしょう)が酔って馬に乗っている様子は、ゆらゆらと揺れてまるで船に乗っているようだ。目はちらちらして、井戸に落ちても気がつかず、そのまま水底で眠ってしまう

汝陽三斗始朝天  汝陽は三斗にして始めて天に朝し

道逢麹車口流涎  道に麹車に逢えば口に涎を流す

恨不移封向酒泉  恨むらくは封を移して酒泉に向かわざることを

汝陽王(じょようおう)は三斗の酒を飲んでから、朝廷に出仕する。出仕の途中で麹車(きくしゃ)に会えば飲みたくて口から涎(よだれ)を流す。いつも残念に思っているのは、酒泉に領地がえをしてもらえないことだ。

左相日興費萬銭  左相の日興萬銭を費やす

飮如長鯨吸百川  飲むこと長鯨の百川を吸うが如く

銜杯樂聖稱避賢  杯を銜み聖を楽しみ賢を避くと称す

左相李適之(りてきし)は、日々の遊興に一万銭もの大金をつかってしまう。その酒の飲み方は、大きな鯨が百の川の水を吸いつくすように飲む、杯を手にしては、清酒を楽しみ、どぶろくは飲まないと自らいっている

宗之瀟灑美少年  宗之は瀟灑たる美少年

舉觴白眼望靑天  觴を挙げ白眼にして青天を望めば

皎如玉樹臨風前  皎として玉樹の風前に望むが如し

宗之(そうし)はすっきりしてあかぬけた美少年である。杯をあげて、世の中を白眼視して、青空を見ると、その様子は素晴しく美しい木が風を受けて立っているようだ

蘇晉長齋繍佛前  蘇晉は長齋す繍仏の前

醉中往往愛逃禪  醉中往往逃禅を愛す

蘇晉(そしん)は仏教に深く帰依していて刺繍した仏像の前で長い間精進潔齋をするが、酔っては往々にして座禅を逃げ出している

李白一斗詩百篇  李白は一斗詩百篇

長安市上酒家眠  長安市上酒家に眠る

天子呼來不上船  天子呼び来れども船に上らず

自稱臣是酒中仙  自ら称す臣は是れ酒中の仙と

李白は一斗の酒を飲めば、詩を百編もつくってしまう。長安市中の酒場で酔って眠ってしまい、天子からお召しがあっても、船に乗ることも出来ない。自分のことを「私は酒飲みの中の仙人です」と称している

張旭三杯草聖傳  張旭は三杯草聖伝う

脱帽露頂王公前  帽を脱ぎ頂を露わす王公の前

揮毫落紙如雲煙  毫を揮い紙に落とせば雲煙の如し

張旭(ちょうきょく)は三杯の酒を飲むと見事な草書体で書を書く。帽子を脱ぎ、頭をむき出しにするなど、王公の前でも礼儀をわきまえない。しかし、筆をふるい、墨を紙に落とせば、その文字は雲煙の飛ぶように見事である

焦遂五斗方卓然  焦遂五斗方に卓然

高談雄辧驚四筵  高談雄弁四筵を驚かす

焦遂(しょうすい)は普段は話下手であるが、五斗の酒を飲んではじめて意気があがってくる。そのとうとうたる雄弁で、声高く話し、周囲の人々を驚かすほどである

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Rihaku1

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