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2011年8月27日 (土)

《漢詩鑑賞》 虞美人草 曾鞏(そうきょう)

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作者の曾鞏(1019~1083)は、司馬光や王安石と同じ世代に属する名文家である。この詩『虞美人草』を鑑賞する前に、簡単に背景(栄枯盛衰の歴史)を振り返ってみる事にする。

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①紀元前210年、秦の始皇帝の死を契機に各地で蜂起が起こった。

②一足先に咸陽に入った劉邦を追って、項羽は鴻門に陣した。両雄は鴻門で会する。

③劉邦は、項羽の圧倒的軍勢の前に、参謀の張良を残して脱出する。

④項羽の智臣・范増は、玉斗を地に投げ打って嘆く、事終われりと。

⑤それから4年、形勢は逆転する。

⑥追われる立場の項羽は、四面楚歌の中、虞姫と自作の詩を歌い合って名残を惜しんだ。

⑦項羽は、八百人余りの騎士を従えて、一路出身地の楚めざして南下を続ける。

⑧淮水を渡ろうとする時には、従者わずかに百人余りになっていた。

⑨陰陵では農民にあざむかれ、道に迷い、その間に漢軍に追いつかれてしまう。

⑩もはやこれまでと観念した項羽は自害し、虞姫の後を追う。

Epi17

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《漢詩鑑賞》 虞美人草 作者・曾鞏

鴻門玉斗紛如雪  鴻門の玉斗紛として雪の如し

十萬降兵夜流血  十万の降兵夜血を流す

その昔、鴻門の会の折、劉邦がこっそり逃げ去ったのち、張良の手で范増に贈られた玉斗は、地に投げ打たれこなごなに砕け、破片は雪のように舞い散った。楚に降った秦の兵卒10万人は、夜、血を流しながら殺された。

咸陽宮殿三月紅  咸陽の宮殿三月紅なり

覇業已隋煙燼滅  覇業已に煙燼に随いて滅ぶ

秦の都・咸陽(かんよう)の宮殿は、項羽により火を放たれ、三ケ月も消えることがなかった。秦の始皇帝も、そしてこの項羽も、一時の覇者のなした事業は、とっくに阿房宮の煙と共に滅びてしまった。

剛強必死仁義王  剛強なるは必ず死して仁義なるは王たり

陰陵失道非天亡  陰陵に道を失いしは天の亡ぼせるに非ず

ただ強いだけの者は滅び、仁義を実践した者が王者となる。項羽が陰陵で道に迷い、農夫に騙されて誤った道を辿り、結局の劉邦の軍勢に追いつかれた事は、天が亡ぼそうとしての事ではなく、自ら招いた事なのである。

英雄本學萬人敵  英雄本学ぶ万人の敵

何用屑屑悲紅粧  何ぞ用いん屑屑として紅粧を悲しむを

英雄たる者、もともと万人を敵に立ち向かう術を学んだのであれば、あかく粧(よそお)った美人のことなど、くよくよ(屑屑:せつせつ)と悲しむ必要もないであろう。

三軍散盡旌旗倒  三軍散じ尽きて旌旗倒れ

玉帳佳人座中老  玉帳の佳人座中に老ゆ

項羽の軍勢はちりじりとなり、旗も倒れてしまった。玉をつらねたとばかりの中で、麗人はいながらにして老いていく。

香魂夜遂劒光飛  香魂夜剣光を遂いて飛び

青血化為原上草  青血化して原上の草と為る

そのかぐわしい魂は、落城の夜、きらめく剣の光を追うように飛び去っていった。青い血は凝って、ここ眼前の、野原の草となtった。

芳心寂莫寄寒枝  芳心寂莫寒枝に寄る

舊曲聞来似斂眉  旧曲聞こえ来たりて眉を斂むるに似たり

虞姫の美しい魂は、もの寂しくひっそりと、寒々しい枝に寄りつき、風にたなびくその様は、あたかも項羽と和して歌ったあの時の別離の調べが、風に吹き送られて来たのを聞いて眉をひそめるかと思わせる。

哀怨徘徊愁不語  哀怨徘徊愁えて語らず

拾如初聴楚歌時  恰も初めて楚歌を聴ける時の如し

哀しみや怨みに憂えて、風に身をよじらせてはいるが何も語らず、四面に楚歌を聞いたばかりの驚きの様子と似ている。

滔滔逝水流今古  滔々たる逝水今古に流る

漢楚興亡兩丘士  漢楚の興亡両つながら丘土

ゆきゆく水はとうとうと昔も今も流れ、楚が滅び、漢がおこり、その漢もまた悠久のかなたにおし流され、残ったものはどちらも小高い墓丘でしかない。

當年遺事久成空  当年の遺事久しく空と成る

慷慨樽前為誰舞  樽前に慷慨して誰が為にか舞わん

そのころの出来事は、とうに空となりはてた。今、酒樽の前で感慨を発しても、一体誰のために舞ったものであろう。この虞美人草の舞いをめでる人がもういないのと同じに。

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